Sさんと二人で、Zoom読書会を敢行(第1回)
ネット上で知り合い、実際にも会っていただいた知人のSさんと、二人きりの「Zoom読書会」を1月10日に敢行しました(11:00~11:50)。使用テキストは、鴻上尚史さんと佐藤直樹さんによる、『同調圧力』(講談社現代新書)です。
まず、私が書いた読書メーターでのコメントから。
お二方のお仕事の延長線上に位置づけられる著作と思われる。世間学会と、阿部謹也さんに言及されていて、うれしかった。昨今のコロナ禍の情勢の分析も織り込まれている。西欧流の「個人」も「社会」もないこの国にあって、一人ひとりが息苦しさを突き抜けて生きていくには、複数の「弱い世間」に依拠すること、「社会」への言葉と回路を見つける努力が必要だと読んだ。(2021/01/08)
実はこの読書会テキスト、第三候補でやっと決まったものでした。第一候補は私が挫折し、第二候補は入手しづらいとのことで、Sさんが選択したものがこれでした。以下、話題となったことをランダムに。
①コロナ禍であぶり出された、日本独特の「生きづらさ」「息苦しさ」がある。
②同調圧力はなくならないので、世間の外にある「社会」につながる回路と言葉を見出す。
③日本では欧米のように「世間」が壊れる・解体されることなく、中途半端に壊れた状態で残っている。このことが、「息苦しさ」を呼び込んでいる。
④同調圧力がなくならないのなら、それを生産的な方向にコントロールすることはできないものか。
⑤忖度することで、役割と責任を無限定で負ってしまう。どちらも、限定することが輪郭のはっきりした「個人」が抽出される前提となるのではないか。
等々。
いま思い出せるのがこの位なんですが、事後的に追記できるかもしれません。
なお、次回は2月21日(日)に、宇野重規さんの『民主主義とは何か』(講談社現代新書)をテキストとした会を催すこととしました。
オンライン読書会へのお誘い(1月8日版)
今回書くこと
私どものオンライン読書会に参加するには
私どもは、2018年10月よりオンラインでの開催に特化した読書会を行っています。オンラインで開催しているため、
・全国どこからでも参加できる、
・自宅にいながら参加できる、
というメリットがあります。
今回のエントリーでは、その読書会に参加するための手順をご案内いたします。
Twitterアカウントで連絡をする
開催に関する情報は、私のTwitterアカウント及びこのブログにて、随時配信しています。お目に止まったら、Twitterアカウント宛てにリプライかダイレクト・メッセージをお送りください。折返し下記のオープンチャットへのご案内をいたします。
オープンチャットに参加する
オンライン読書会は、会議ツールの「Zoom」を利用して行います。参加にあたっては、配信されるURLをクリックしていただきます。
また、それに先立って、
・Zoomアプリ(デスクトップまたはモバイル)のインストール
・Zoomアプリの最小限の設定(メールアドレス、パスワード、表示名、表示アイコン)、
をお願いします。
参加用URLは、主としてLINEのオープンチャットを経由して配信していますので、そのオープンチャットにご参加ください。オープンチャットには、下記のURLで表示されるQRコードから参加できます。
既にオープンチャットにご参加くださっている方々も、ブログ等で提供している情報をご覧いただいた上で、適宜Zoomでの開催にもご参加いただければと思っています
Discordサーバに参加する
上記2件の他に、主としてゲーマーさんたちのコミュニケーションツールとして使われていたDiscordというアプリも利用しております。こちら経由でもZoomのURLを配信するようにしていますが、コミュニティ的な要素が強いため、お問い合わせがあった場合にご説明をいたします。
オンライン読書会の概要
この読書会は、2018年10月に開設して、以来70回の開催をしています。主として、以下の3つのスタイルで運営をしています。
テキストの講読
指定してテキストを読んできていただき、それについての感想や意見を述べあう形で進めていきます。使用テキストにご関心があれば、未読の場合でも参加を歓迎いたします。
「推し本」の紹介
参加人数によって、お一人当たりの発言時間が左右されますが、お一人一冊から三冊程度の「推し本」(=読んで面白かった、人にも薦めたい本)をご紹介していただきます。
「テキストの講読」と「推し本の紹介」は、一か月おきに開催していく予定です。
その他
読書にまつわるテーマを設定し、それについての意見を交わし合います。今までには、
・名刺代わりの一冊
・映像化された作品について
等について実施をしています。
1月度のスケジュール
今月度のスケジュールを以下に記載しておきます。ご都合がつくようでしたら、ぜひお問い合わせください。
・1月11日(月)23時~ 100分de名著『資本論』②
・1月16日(土)20時~ 100分de名著『ディスタンクシオン』全体
・1月18日(月)23時~ 100分de名著『資本論』③
・1月25日(月)23時~ 100分de名著『資本論』④
ご参加をお待ちしております。最後までお読みくださり、ありがとうございました。
「100分de名著『資本論』」第1回放送分から(21/01/04)
Eテレ「100分de名著」の1月分の放送が、月曜の22:25から開始された。今回取り上げられる名著は、カール・マルクス(1818~1883年)の大著『資本論』(1867年、第1部刊)。ナビゲーターは、斎藤幸平さん(1987年~)。『人新世の「資本論」』(2020年)が話題となっている。
今年のオンライン読書会は、いっそのこと「100分de名著」に貼り付いて、取り上げられる12冊について、解説テキストを全て読んでしまおうとしている。今回は、数回にわたってTwitterでお知らせをしたあと、LINEのオープンチャット経由でZoomへの参加URLを配信するという段取りをとってみた。23時開始との指定にも関わらず、女性1名・男性1名がご参加くださった。
始めにご質問があったので、そもそも「読書会」って、どんなことをどんな風にするのかということから説明させていただいた。
その参加者さんは、すでに『人新世の「資本論」』を読了されていることもあって、放送分がカバーしていた以上の内容についても言及してくださった。
以下、発言内容について。すでに、誰がした発言なのかはわからなくなってしまっていることをお許し願いたい。
①「富」と「商品」の違い
②「使用価値」と「価値」の違い
③資本主義は「外部」を必然とすること
④テーブルのダンス
この辺りが、主な発言内容だったと記憶している。
①と②について
この2つずつが「異なる」ということがわかっただけでも、今回の放送を見た甲斐があったように思う。とはいえ、この基本的な用語を、簡単に説明しようとすることは難しい。
富 → 空気、水、緑、図書館、携帯電話、食料品等々の有用性のあるもの、
商品 → ハンバーガー、パソコン、雑誌等々、有用性の有無に関わらず、お金で買えるもの全般、
などとして例示しておきたい。極めて乱暴で、あいまいな、場合によってはまちがった「解釈」かもしれないが、ご容赦願いたい。
そして、資本主義経済(資本主義社会、でもいいかな?)の特性としては、「富」が「商品」という形で現れてくる、ということがある。
ここで男性の参加者さんから、「商品は、『富』の一部分なんでしょうか?」とのご発言があったが、うまく答えが出せなかった。
次に、「使用価値」と「価値」についてであるが、並べると「価値」の方が上位概念のように思われたのだが、話はどうも逆のようだとの印象を受けた。
例えばテーブルの場合、その上で食事や読み書きをする、場合によっては横になって眠る、というような、いわば有用性、実用性といった、本来的な効用(でいいのかな?)が「使用価値」である。
一方、「価値」とはブランド感などの後づけの、言ってみれば市場で交換されるようになった時の、いわば付加価値のことなのではないかと、ぶっちゃけ思っている。繰り返すようだが、違っていたら申し訳ない。
まとめようとすると、
資本主義経済(ないし社会)においては、商品へと全面的に変質させられた富は、使用価値よりも、価値が優先的に評価されるようになる。
ということになりそうなんですが、どすか?
③資本主義が「外部」を必然とすることについては、番組では直接言及されていないが、派生的に話題となった。あるシステム「内」の循環で完結するのではなく、例えば廃棄物を海外に「押し付け」るようなことが、資本主義では必然とされるということを話し合った。
④テーブルのダンスについては、価値の転倒、主客の転倒といった印象はあるのだが、よくわかっていないので、言及があったとの報告のみにとどめておく。
以上、約40分ではあったが、楽しく過ごすことができました。ご参加くださったお二方には、心から御礼申し上げます。
2020年12月度の読書まとめ
新年あけましておめでとうございます。お一人お一人にとりまして、よき一年となりますことをお祈り申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
* * *
12月の読書メーター
読んだ本の数:2
読んだページ数:311
ナイス数:101
NHK 100分 de 名著 ブルデュー『ディスタンクシオン』 2020年 12月 [雑誌] (NHKテキスト)の感想
【1回目】「ブルデュー」「文化資本」は辛うじて知っていたものの、この二つは結びついてはいなかった。ハビット、界、文化資本では、文化資本がよく知られている概念であろう。例えば、本を読まない子の親もまた、本を読んでいない(はずだ)。その子は、「読まない」という姿勢を受け継いでしまったものと考えられる。こういうと、「事情は人様々だしね」と返ってきそうな気がする(この例示が正しいかはわかりません)。最後近くの、幻想に逃げずに希望を見い出すという力強い言葉には感服した。
読了日:12月13日 著者:岸政彦
14歳の教室 どう読みどう生きるかの感想
【2回目】読書会で紹介するために、傍線を引いた部分をピックアップして読了とする。若松さんの著作には、何冊か触れてきたが、何となく言わんとしていることが分かってきたように思う。識り得ないことを識り、語り得ないことを語ろうとすること。読む「と」書くということ。仏教には「不二」という考え方があるのだが、対立項と見えることが、実のところ相即の関係であることに通じているのではないかと考えてみた。
読了日:12月26日 著者:若松 英輔
読書メーター
* * *
11月度の1冊に続いて、冊数において低迷した月だった。要因としては、病状の現れ方に右往左往していたことを挙げなければなるまい。今年は、翻弄されるようなことがないよう過ごしたいものだ。
すたんど
2021年・読書会のテーマは、「100分de名著」を見る、読む、語る。
昨日(12月28日)をもって、2020年内の「100分de名著」のオンエアが終了した。既出の通り、対象となったテキストは、ピエール・ブルデューの『ディスタンクシオン』で、ナビゲーターは岸政彦さんが務めてくださった。
放送終了後、私のタイムラインが、この放送のことで1~2時間くらい賑わっていた。そして感じたのは、この方々と、肉声を交わしたいなということ。平日の23時頃なので、物理的な制約があるのは承知の上だが、できないものかなあ。
番組やテキストの「感想」でいいので、ちょっと立ち話程度で話を交わしてみたい。そう考え、一つの提案を思いついた。
Zoomで、「読書会」的に集まろう。30~60分程度でいいからなあ。
1回の放送が25分だから、それくらいでちょうどいいだろう、という考えである。
次いで、スケジュールを考えてみた。放送テキストの『ディスタンクシオン』は元々1月16日(土)20時からオンライン読書会として実施する予定であったので、これは動かさず、1月放送分の日時を追加すればよいのではないか。
つまりは、
・1月4日
・1月11日
・1月18日
・1月25日
のそれぞれについて、放送終了後の23時~23時30分程度までを開催時間帯としたいと考える。
そうそう、肝心の1月度放送テキストの対象を書いていなかった。斎藤幸平さんによる、マルクス『資本論』。攻めてますな、Eテレ。ちなみに、2月度はフランツ・ファノンの『黒い皮膚・白い仮面』を予定しているそうだ。
このブログが、どなたかに届きますように。
期待したい、今夜放送の「100分de名著」
既報のとおり、来月度のオンライン読書会では、ブルデューの『ディスタンクシオン』に関する「100分de名著」テキスト(岸政彦さん)を取り上げる。
この「100分de名著」は、1回25分の放送を4週にわたって(=4枠)放送するものであるが、流れていたツイートで、番組プロデューサー氏によるものを見つけた。
「#ディスタンクシオン」第四回は企画者としても一番好きな回。#岸政彦 さんの「社会学」に寄せる思いが溢れています。#ブルデュー 後期の代表作「世界の悲惨」にも触れています。私も大好きなあるパフォーマーが社会学と比せられ岸さんと伊集院さんが意気投合する瞬間にもご注目。#100分de名著 をぜひ https://t.co/OicfT63wZJ
— 秋満吉彦@近著「行く先はいつも名著が教えてくれる」発売中 (@akiman55) 2020年12月28日
『ディスタンクシオン』の回としては最終回になるわけだが、期待できそうである。ご覧いただけると、私どもの会にも関心をお持ちいただけるのではないか。
なお、1月度のテキストは『資本論』。ナビゲーター(解説テキストの著者)は、斎藤幸平さんとのことで、これも楽しみだ。
※当初タイトルを「明日~」としていたのですが、誤りでした。お詫び申し上げます。
2021年1月16日(土)より、オンライン読書会!
1)昨年を簡単に振り返る
・回によって、参加人数のバラつきが大きかった。
・開催回数を漸次減らしていったのが原因かもしれない。
・特に11月・12月については、私の体調不良のため、当日に中止せざるを得なかったことがあった。要は、手を広げすぎて自滅したというパタアン。
・いろいろ暗中模索中です。
2)今年の方針(通年)
・主として、Eテレ「100de名著」の教材を、翌月に取り上げたい。1回で終了できるか不安は残るが、それは一月あたりの開催回数を増やすなどして吸収できればよいなと考えている。
・問題は、主催者の読解力。最大の懸案事項!
3)1月度の使用テキスト(現時点)
・先述のEテレ「100分de名著」の教材・2020年12月号を使用の予定。取り上げられているのは、フランス現代社会学の金字塔『ディスタンクシオン』(ピエール・ブルデュー)。以下を参照されたい。
掲示されているものの中には「Kindle版」と表記されているが、紙の版もまだ入手できるはずです。
1月16日にお会いできることを楽しみにしております!!
4)私が取り上げたい論点
・民衆が社会改革のために立ち上げるというロマンチックな幻想に逃げ込まない。
・「文化資本」というブルデューの概念と関連して、「自己責任論」の無責任さを問いたい、など。
5)読書メーターへの投稿(参考まで)
「ブルデュー」「文化資本」は辛うじて知っていたものの、この二つは結びついてはいなかった。ハビット、界、文化資本では、文化資本がよく知られている概念であろう。例えば、本を読まない子の親もまた、本を読んでいない(はずだ)。その子は、「読まない」という姿勢を受け継いでしまったものと考えられる。こういうと、「事情は人様々だしね」と返ってきそうな気がする(この例示が正しいかはわかりません)。最後近くの、幻想に逃げずに希望を見い出すという力強い言葉には感服した。